■五月花形歌舞伎
南座での花形歌舞伎は2年ぶりですね。(あの時も通し狂言で、楽しかった
)
大名家乗っ取りを目論む犬神兵部(橋之助さん)は、妊娠した自分の女・お大の方(七之助くん⇒誕生日オメデトウ
)を妹と偽って殿様(勘太郎くん)へ差し出します。
生まれてくる息子を殿様の跡取りにする計画。
好き放題のお大の方の提案で、今まで禁止されていた神聖な山で殿様が狩りをしている時、白狐(魔法を使うことができると言われている神聖な動物)が現れます。
射殺そうとする所へ家臣・隼人(愛之助さん)がやってきて、殿様を叱ります。
でも、お大の方にメロメロな殿様は、逆に隼人を罰して家から一歩も出ないように命令します。
殿様が帰った後で、兵部は邪魔な隼人を部下たちで殺そうとしますが、そこへ現れるのはさっき隼人に助けられた白狐。
妖力で兵部の部下たちを追い払い、また他の狐たちを人間に化けさせて籠で隼人を家まで送り届けます。
隼人を乗せた籠が去った直後、それを追いかける奴・菊平(愛之助さん)。これは隼人を守るために化けたさっきの白狐
自宅軟禁となった隼人の元へ、兵部の部下が見舞いにやってきます。
兵部が殿様へ薦めたので、もうすぐ軟禁が解かれそうだとのこと。お祝いの酒まで持ってきています。
突然の態度急変を怪しんだ隼人が、一緒に酒を飲もうと勧めますが辞退してそそくさと帰ります。
ますます怪しい…酒を庭の菊にかけるとあっというまにダラン
毒殺するつもりだったのか
もうこれは、兵部の悪行を殿様の親戚である遠江守の殿様へ知らせて助けてもらうしかない。
そう決断した所へ忍び込んできたのは以前隼人の家の召使だったお早(七之助くん)。
恩ある隼人のために何でもすると申し出るお早に遠江守への密書を託すことにしました。
預かった密書を抱えたお早が夜雨の中を歩いていると、隼人の家臣だという男が、隼人が密書を戻すように言っていると追いかけてきます。
用心深いお早が直接返すと言って二人隼人の屋敷へ戻ることにしますが(今回も客席内を1周してました
)、途中で突然男がお早に斬りかかります
男は実は岡田良助(橋之助さん)と言って、貧乏暮らしを脱出する為に兵部から密書を奪う仕事を請け負った者でした。
抵抗するものの、ついに殺されてしまうお早。恨みの言葉を残して息絶えます。
やってきた兵部の部下へ密書を渡すと、当座の逃走資金として100両を渡されます。
また、ほとぼりが冷めるまでの逃走中、家族の世話も兵部がすると約束されます。
嬉しそうに立ち去る良助と、偶然すれ違ってその袖をちぎったのがお早の夫・小平次(勘太郎くん)。(これで小平次は妻を殺した犯人が分かる)
月日が経って。
良助が家へ戻ってきます。
愛する家族は兵部の援助で楽な暮らしをしていたと信じきっている良助は酒に酔っていい気分。
ところが、家族は以前よりももっと貧困に苦しみ、更にお早の怨霊にも苦しめられていました。
ドロドロと現れる怨霊に対し、良助は強気に言葉を返します。
しかし、母親に打ち据えられて話を聞くと、兵部は残された家族を支援するどころか、良助が100両を盗んで逃げたと言って、家族に家から立ち退くようにまで命令していたのです。
家族は皆お早の怨霊のために病気で苦しみ、良助がいなくなった後に生まれた息子に至っては骨と皮で明日をも知れぬ命です。
それを聞いた良助は「俺の何が悪い!」と妻(萬次郎さん)に離婚を宣言、母親(吉弥さん)にも妻と一緒に出て行くよう言い渡します。
どこまで非道な男だ、と泣きながら奥の部屋へ行く妻と母。
(男の子は父親が引き取るのが原則なので)残された息子を見つめる良助の基へ、幼い娘が駆け寄ってきます。
そしてお詫びに私が死ぬから母さんとおばあさんを許して上げて! と自らの首を刀で刺します
驚く良助。
娘を抱きしめ、泣きながら真実を語ります。
兵部に騙されたとはいえ、人殺しをしたのは事実。罪人の家族として苦しむことのないように、縁を切ったんだ…!
やがて、苦しむ娘と息子に、涙を流し歯を食いしばって止めを刺した良助。
様子を伺っていた妻と母が駆け込んできて、良助の改心を喜びます。
妻と母は、この後兵部へ仕返しをするという良助の足手まといにならないようにと既に自らの胸を刺していました。
こうして一度に家族を失った良助。
兵部の悪行の証拠を盗み出し、それを遠江守へ差し出そうと決意します。
所変わって兵部の屋敷前。
遠江守がやってくると聞いた兵部の部下は、城へ到着前に暗殺しようとバタバタと準備を始めます。
小平次はお早の仇を討とうと乞食に身をやつして良助が現れるのを待っています。
そこへ屋敷の中から塀を壊して現れる良助。
手には盗み出した【隼人が書いた密書】と【悪事に加担する人間の連判状(名簿)】が。
これを遠江守へ渡そうと走りだします。
それを見た小平次も後を追います。
水車小屋の前で良助に追いついた小平次。
大迫力の殺陣。
(水車小屋の屋根から池へ落ちるわ、良助は水車に掴まってぐるぐる回るわ、二人で大暴れするわで、観客席前から4列目くらいまではキャーキャー言いながら飛沫から逃げながら見ていました。橋之助さんと勘太郎くんは叔父と甥の関係、一瞬本気で殴っちゃった橋之助さんに勘太郎くんマジギレしてなかった? あれも演技なのかな…)
斬り合いの末、ついに小平次に刺される良助。
断末魔の中、自らの改心を語り、盗み出した証拠の2通を遠江守へ渡してくれるよう頼みます。
早まったことをしたと後悔する小平次に、目的が達成できると笑顔を見せる良助。
良助の頼みに小平次は介錯(首を斬って止めをさす=苦しみを取り除く)をします。
回り舞台が動いて、ちょうど見えなくなる直前に刀を振り上げる小平次…(こういう演出はたまらなくカッコイイですね)
ちょうど水車小屋裏の街道に遠江守の行列が通りかかります。
そこへ訴えかかる小平次。
これはもちろんとても無礼な行動なので、あっという間にお付の武士に囲まれてしまいます。
でも、行列の中にいた知り合い=林数馬(壱太郎くん)が進み出て、小平次から2通を受け取り、遠江守の駕籠へ差し入れます。
その時、1発の銃声が鳴り響く…
駕籠からうめき声が漏れ、行列はバラバラに。
遠江守が撃ち殺された。せっかくの訴えが届かなかった。
打ちひしがれる小平次。
その小平次へ水車小屋から声が掛かります。
出てきたのは、お付きの武士に変装していた遠江守
驚く小平次に、白狐のお告げで
兵部の悪行
隼人が地下牢に閉じ込められている
遠江守の命を狙うものがいる
ことを知っていた。だから用心して替え玉を駕籠に乗せていた、と説明します。
そこへその白狐が現れ、地下牢から妖力で救い出された隼人も現れます。
希望の光が差し込んだ! と高らかに笑う一同。
また、場面が変わってお城の中。
遠江守への挨拶にやってきたお大の方を数馬が相手しています。
お茶をもってきたのはおしとやかな女中…ではなくて百姓娘
あっけにとられているお大の方に向かって「ごめんやして。おくれやして。ごめんやっしゃ~」と大阪ギャグを連発。(壱太郎くん、よく笑いを堪えてました
)
嵐のように2人の百姓娘が去った後で、失礼ではないか! とキレるお大の方。
それに対して数馬がお前も元はそういう女じゃないか、と兵部のたくらみがバレていることを告げます。
隼人もやってきて、糾弾されたお大の方は言い逃れすることもなく潔く自害します。(すごい悪女で、ある意味すごくカッコイイ)
庭では兵部が捕り手に囲まれていました。
捕り手をバッタバタと倒していく兵部。
そこへ菊平が現れ、白狐の本性を現して兵部を倒します。
殿様と遠江守、隼人もやってきて、桜の舞い散る中、これにて一件落着

華やかで、鮮やかで、色んな仕掛けがあって、楽しくて、泣かせる所もあって、すっごく楽しいお芝居でした☆
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水がかかるので…とビニールシートが配布されました。
花道横の3列目だったので、飛沫もほとんど飛んできませんでしたが…
大熱演の橋之助さんの汗は、七三で立ち止まられる度に落ちてきたような。。。
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橋之助さんの奮闘はもちろんですが、今回一番印象に残ったのは七之助くん
いきなり(出生の秘密がバレると困るからと)父親の首を絞めて殺すシーンで登場する悪女・お大の方の冷たい視線も、怨霊として現れるお早も。
夢に見るんじゃないかと思うくらい怖かった…
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